東京家政学院大学のキャリアバームと華飛がサポートを行いながら、ドローン業界で働く女性のキャリアについて、インタビューを行う企画です。これから社会人になる大学生の目線から、ドローン業界で働く女性に話を聞き、ドローンに関することや働くことに対して様々な話聞ける機会を作れればと思い実施しました。
第2回目はドローン講師をされている愛カ(あいか)さんです。
氏名:愛カ(あいか)
ドローン経歴:4年目
年代:40代
血液型:B型
居住地:関西
田中愛カさん撮影のお気に入りのドローン写真はこちら
Q1.現在の仕事について
ドローンを始めたきっかけは、「日本で最も美しい村」に認定された兵庫県「小代」の地域PR Instagramを0から立ち上げ運用していく中、写真以外のニュアンスで伝えられないかという課題があり、そこでドローンの動画を見て、自身がドローンで撮影を出来たら違った視点での魅力を伝えられるのではないかと思い始めたそうです。
実際ドローンで撮影した映像を活用したことで、小代(おじろ)の美しい里山の風景や魅力を多くの人に知ってもらう事ができInstagramのフォロワーは小代(おじろ)の人口1900人の約5倍にあたる1万人を超え実際に訪れる人も増えてきたそうです。
現在は、主に地方で行う空撮とドローンスクールの講師の仕事をされています。コロナ禍でイベント等は難しくなってしまい、スクール講師の仕事が7割を占めているそうです。また、コロナの影響で生徒数(男性9割、女性1割)も増え、企業でドローンを使いたい人や時間に余裕がある大学生(工業系が多い)などがドローンについて学びに来るそうです。
コロナ禍で時間が余ったため、何かスキルアップできないかという若者も学びに来るそうです。空撮では、お店のPR動画や案内として店舗の中を小型ドローンで撮影するお手伝いをしたことがあるそうです。
地方で行う空撮を主にやっていて通販で売る食品がどのように育てられているのかをドローンで撮っています。コロナ禍により、地域の観光よりも商品を売るECサイトのための依頼が増えたそうです。
Q2.ドローン業界の魅力
あいかさんはたくさんの人に会えることがドローン業界の魅力だとお話しされていました。さまざまな業種の人に会えることで常に新しい刺激になるそうです。スクールに来る方もさまざまな職種の方がいて、撮影に行くにしても行ったことがないところに行き観光気分になれたり、違う文化に触れることが楽しく、ドローンをやっていなければ経験できなかったことだとお話しされていました。
会社にいると同じことの繰り返しになってしまうことが多かったが、これまで携わったことのない業種(地理・観光・開発など)と関わらせていただいた事で、ただドローンを飛ばしただけではわからない知識を得る事ができたとお話しされていました。例えば、地理であれば昔の地形との変化で里山の暮らしの移り変わり等を知ることができたそうです。
コンサートイベントのライブ配信ではコロナ渦でも出来る感動の届け方と安全管理に対する心構えを更に深める事ができました。地方自治体や様々な業種の方のお話を伺う機会をいただけた事で世界が広がったと感じ、地域課題にドローンが貢献できることがまだまだたくさんあるとお話しされていました。
ドローン業界に入る前これらの魅力はあまり予想できていなかったそうです。(関西の田舎の方だから)仕事が限られていて、自分の得意分野を活かしたいと思ったら自分で仕事を作って行かないといけないとお話しされていました。
競合する会社も全然なくドローンを活用できたら地域にとっても自分にもプラスになるのではとお話しされていました。あいかさん自身もまさかこんなに多くの人に会えるとは想像していなかったとお話しされていました。
また、ドローンをやる人は普通ではないと笑いながらお話しされていました。ドローンをいきなりやろうと思う人は突き抜けた感じの人で個性が強く、1回会ったら忘れないくらいインパクトの強い人が多いとお話しされていました。(カメラが好きな人やラジコンが好きな人、お金になると思って業界に入ってきている人などさまざまな人がいます。)特にドローンレーサーの人はキャラが強めで負けん気が強く、親切な人が多いそうです。
あいかさんも自身のことを普通じゃないと思っているようで、努力して新しいことを吸収しようと思ってないとドローン業界は居づらいだろうなと感じるそうです。ドローンの安全性能が向上したことで、農林・土木・撮影・調査等の分野では大型機から小型機まで幅広いドローンが活躍しています。また、物流でも業務で使用していくための課題抽出や検証が行われておりドローンが身近なものとなってきています。
このようにドローンの機体もビジネスも新しくなり、目まぐるしく状況が変わるため、好奇心旺盛な人や意志がある人のほうが向いている業界なのではないかとお話しされていました。
ドローン業界と言っても分野によって異なるため、分からないこともあり、それぞれの中で何かしらの分野を突き詰めているそうです。
趣味で手を出しやすいドローンもあるが、仕事でしようとすると、「開拓していくぞ!」という気持ちがないと難しいのではないかとお話しされていました。
実際、開拓者のようないろんな発想を持っていて、今これをやっているけどこんなふうにもやって行きたいといった話ができる方が多くいるそうです。発想豊かにいろんなパターン、柔軟な人が多いのではないかと感じているそうです。
未来の話について具体的にお伺いしたところ、会社でこういう風にドローンを使おうと思っている、いろんな想定のパターンの話をされていたりするそうです。ドローンはパイロットや補助者などがいなければ運用できないもので、チームで仕事をしているので具体的な運用方法も話しているそうです。また、企業同士を組み合わせればこんなことができるのではないかという話などもあるそうです。
将来、現実に叶いそうな話を聞けることがいいなと思うそうです。
Q3.ドローン業界で働くことの良いところ、辛いところ
ドローン業界で働く良いところは、人に喜んでもらえることとそれを間近で感じることができるところだそうです。例えば、空撮の分野では、地方の方が喜んでくれたのが嬉しかったそうです。
地方の特に年配の方々は、長くそこに住んでいたり、若い人が出て行ってしまったりしているから、「うちなんて」と自分の地域にネガティブな印象を持っている方が多いそうですが、あいかさんが撮影した地域の魅力を伝える映像を見て、「日頃、自分が歩いて畑に行ってるとこがこんな綺麗な景色だったんだね」、「良いところだと言ってくれるけど、どこが良いのかわからなかったけど、あいかさんからはこういう風に見えているんだね」と言ってくれたのが嬉しかったとお話されていました。
あいかさんは小さい頃から人が喜ぶのが嬉しいと思う性格で、ビジネスよりも人の喜びや温かさを求めて仕事をしていると話されていました。中々お金にはならないので、おすすめできるかといえば、そうではないようですが、地方の方がすごく喜んでくれるのが嬉しいそうです。
辛かったことは、女性が目立つのを良くないと思う方からの言葉だそうです。人前に立つことが苦手なあいかさんですが、ドローンで町おこしをする女性という希少な立場であったために、宣伝広告塔として新聞やテレビなどの取材を受ける事が多くあったそうです。
町おこしに繋がる事だからと頑張っていたそうですが、多くの方が喜んでくれる一方、女性が目立つのを嫌がる人もわずかにあり、かなり辛辣なことを言われたようです。また、女性が少ない業界であるため、利用しようと寄ってくる人もいるそうです。実際に騙されてしまったこともあり、半年くらいは人に会うのが怖くなるほどの辛い経験をしたそうです。
しかし、応援してくれる家族や友人達がいたため「これまで、一生懸命やってきたことをこんな人のせいで辞めたくない」と強く思い、熱心な生徒たちを見たことで「頑張っている人をサポートしたいんだ」という初心を思い出し、ドローンの仕事を続けているそうです。
Q4.働く原動力
人の暖かさが原動力だとお話されていました。仕事で関わった地域のおじいちゃんおばあちゃんがLINEをしてくれるなど、人との交流の機会や、自分を応援してくれる人の存在が原動力として大きいそうです。それに加えてドローンによって世界が広がり、色んな所に行ってみたいと思うようになったことも原動力だとお話ししていただきました。
また、地域おこし協力隊に入ると、生計を立てられるものを自分で見つけなければならず、初めから遊びではなく、ドローンを自分のものにして、生業にしようというという決意を固めていました。そのため、簡単にドローンを諦める気持ちがなかったこと、ドローンの学校の試験に1回で合格することを宣言し、家族や周りの人にやらせてほしいと協力を仰ぎドローンの操縦技能資格を取得しました。そういった強い意志も原動力だとお話ししていただきました。
そして、辛かったこともあったものの、それがなかったらスクールで教えることや、誰かの相談にのってあげることも出来なかったと感じるそうです。そうした経験も同じような問題に悩む人に寄り添って話しを聞く事ができているので今では良かったと思えるため、これまでの経験も原動力であり、仕事をする上で大事だと考えていらっしゃいます。
Q5.ドローン業界に対する将来への期待
現在はインフラや農業に関わるドローン事業の収入が伸びるといわれていますが、あいかさんは、エンタメとしての要素を伸ばすことに期待をされています。エンタメとしてのドローンというのはドローンを楽しむ人を増やすことで、そのためにはドローンを体験できる機会や気軽に飛ばせる環境を整えること、加えて女性のドローン人口の増加が必要だとお話ししていただきました。
また、このエンタメとしてのドローンは地域おこし協力隊の方にも伝えていきたいと感じるそうです。雪国でスキーの選手が生まれやすいことと同じように、地域おこし協力隊の方々は田舎の環境だからこそできることを掘り下げて地域を開拓してくれるのではと感じておられます。
そこで、あいかさんは今の仕事となるきっかけとなった地域おこし協力隊の観点から、田舎との繋がりを作りつつ、地域を盛り上げることにドローンを活用できたらとお話しいただきました。
Q7.若い人にドローン業界を薦めたいか
あいかさんは、「何にドローンを使うか」を具体的に考えている人にはお勧めしたいと考えていらっしゃいます。鉛筆を持ったからといって誰でも綺麗な字が書けるわけではないのと同様に、ドローンを操縦するだけでは使いこなすことができません。ドローンの具体的な活用方法を考えている、かつ「やりたい」という熱意を持っている人が業界に上手く適応できるのではないかと感じるとのことでした。
また、開発に携わる若い人が実験の際にドローンを飛ばせる場所が増えたら、今よりもさらに業界が盛り上がるのではないかと感じておられます。年々ドローンに関する規制は厳しくなっているものの、それが原因で若い人の夢が無くなることはもったいないと感じていました。そのうえ、田舎に若い人を増やすきっかけにもなると考えていらっしゃいます。
今頑張っている人が伸びることのできるフィールドを地方に作り、若い人の夢を実現することに貢献できたらとお話しいただきました。
最後に私たちの感想
辛かったエピソードが想像以上で、自分だったら辞めたくなりそうだと思うほどでした。
しかし、ドローンで繋がった他の方々に相談に乗ってもらい救われたとお聞きして、良い出会いも悪い出会いもあるけど、そこで出会い繋がったからこそできる経験があり、経験があるから今があると思えました。そして多くの人と出会えるドローン業界にとても魅力を感じました。
また、家庭を持ちながらも自分の将来のキャリアを考えてドローンに携わることを決めたとお話しされていて、自分の周りのお母さんたちとは異なる考え方を持っていると感じ、そんな方からお話をお聞きできとても新鮮でした。
今まで育ってきた環境から、家庭を持ちながら自分のキャリアを形成するのは難しいことではないかと勝手に感じてしまっていたので、固定概念を崩すきっかけになりました。
この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
あいかさんの周りの方も、発想豊かで好奇心旺盛な、行動的な方が多いといいます。
ドローン業界はめまぐるしく状況が変わるため、自ら努力して吸収しようという姿勢がないと居づらい業界とのことで、これはまだ新しい産業であるドローン業界ならではの特徴なのではないかと思いました。
あいかさんが辛いことがあった時もドローンから離れなかった理由として、始めた時の強い想いが関係していたことが印象的です。地域おこし協力隊に入り、生計を立てられるものを自分で見つけなければならない状況で「ドローンを自分のものにする」という強い気持ちがあったとお話しされていました。生活のかかる中では大きなプレッシャーがあったと思います。私も今後似たような状況になった時、あいかさんのお話を思い出せば乗り越えられそうな気がしました。
この度は、ご協力と素敵なお話をありがとうございました。
この度は、ご協力いただきありがとうございました。